【企業向け】新卒採用のスケジュールとタイミング|流行りのジョブ型採用、採用人数の目安と求人方法を解説!

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「新卒採用ってどれぐらいのタイミングから踏み切ればよいんだろう。」
「ジョブ型採用のメリット・デメリットを知りたい」

2025卒向けの新卒採用が控える今、このように考えている経営者、人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今流行りのジョブ型採用は、企業が事前に定義した職務内容に基づいて必要な人材を採用する方法で、近年は日本の大企業でも注目度が高まっています。
職務内容やポジションによって報酬が設定されるので、従業員のモチベーションにつながりやすいという利点があります。
ただしメリットだけではなく、デメリットもあるので採用する際は事前に理解しておくことが大切です。

今回の記事では、ジョブ型採用を新卒で行うメリット・デメリットやスケジュール、中小ベンチャー企業が新卒採用に踏み切るタイミングなどについて解説します。

これから新卒採用に注力したいという場合は、ぜひ参考にしてみてください。

ジョブ型新卒採用とは?

ジョブ型新卒採用とは?

ジョブ型採用とは、会社側が事前に「職務記述書(ジョブディスクリプション)」を用いて定義した職務内容に基づいて採用する手法です。

必要なスキルや特性を持つ人材を集められるので、より優秀な人材を効率よく採用できます。

日本独自で行われているメンバーシップ型採用とは異なり、従来、ジョブ型採用は欧米を中心に用いられてきた手法です。

両者の採用形式について、違いを整理して確認してみましょう。

ジョブ型採用メンバーシップ型採用
採用の起点職務人材
職務明確(柔軟性低い)曖昧(柔軟性高い)
賃金制度職務重視職能重視
賃金分配頃斜配分硬直的
評価基準職務内容・職務成果職能水準・能力発揮
専門性スペシャリスト・マネジメント人材ジェネラリスト人材
人材の流動性

職務によって求められる内容やミッションがあらかじめ決まっており、職務をもとに定量的な評価をしやすいことから、現在では日本でもジョブ型を新卒採用の場面で導入する企業が増えています。

また、近年では学生側のジョブ型採用に関する認知も急速に進んでおり、株式会社学情による2023年卒業の学生のアンケート結果では、実に4割以上が「ジョブ型採用」を知っていることが明らかになりました。

ジョブ型採用に関するアンケート結果

さらに、約7割の学生がジョブ型採用に前向きな姿勢を示しているそうです。

(ジョブ型)新卒採用のスケジュール例【25卒】

2025年卒業の学生を対象とした、ジョブ型新卒採用を実施する企業の、具体的なスケジュールの目安を確認してみましょう。

項目時期選考内容・説明
情報解禁6月~7月募集要項が公開され、採用サイトから学生が応募を行います。
説明会やインターンの実施情報や、採用スケジュールを公開します。
夏季インターン開催6月~9月早期化で採用直結型インターンを実施する企業が増加。
実戦形式で応募者の職務能力を測ります。
秋冬インターン開催10月~12月   夏季よりも学生がまとまった期間を確保できない点に注意。
こちらも同様、実戦形式で応募者の職務能力を測ります。
採用体制の本格準備   1月~2月インターン参加者のフォローアップ(早期選考)を行いながら、本選考の広報や社内体制の整備をします。
本選考の開始3月~8月営業職の場合、実務課題やセールスシミュレーションなどを通じて、学生の職務能力や専門性の高さを測ります。判断したスキルに応じて報酬を設定するケースもあります。
内定出し5月~9月最終選考を通過した学生に内定を出し、入社手続きや内定後フォローを行います。そのなかで、職種や部署、業務範囲の最終的な摺り合わせを行いましょう。

上記の通り、基本的なスケジュールについては、通常の新卒採用と大きな違いはありません。

しかし、選考やインターンシップでの専門性をあげる事や、総合職とは別の広報や訴求方法を検討する必要があります。

ジョブ型新卒採用のメリット

ジョブ型新卒採用で特に営業職を採用するメリットは、以下の3つです。

ジョブ型新卒採用のメリット

それぞれのメリットについて、見ていきましょう。

専門性が高い人材が集まる

ジョブ型採用では、事前に求めている営業職の内容やミッションが明確になっているので、専門性の高い営業人材を集めやすいのがメリットです。

ジョブ型採用で集まった専門性の高い営業人材は職務にコミットできる分、営業のコア業務において即戦力として期待ができるのもポイントです。

これから専門性の高いプロジェクトを始めたい、より自社の営業生産性を高めたいという場合は、ジョブ型採用を検討してみましょう。

ミスマッチが少ない

ジョブ型採用では事前に営業職の内容や評価基準が明確にされていることが多く、入社後のミスマッチを抑えやすくなっています。

入社前に想定した営業業務の内容や環境と異なるといったケースが少ないため、ストレスやギャップを感じることなく働きやすくなるでしょう。

入社後にミスマッチを感じてしまうと、それだけで退職してしまう人材は多く存在します。

営業人材を慎重に採用したいという企業にとって、ジョブ型採用を活用するメリットは大きいといえるでしょう。

育成がしやすい

ジョブ型採用では達成すべき営業目標やミッションがあらかじめ決まっているため、育成をしやすいのが強みです。営業業績も定量的に評価しやすく、社員側のモチベーション向上にもつながります。

さらに業務が決まっている分、営業の専門的な能力を特化して伸ばすこともできるため、営業人材のさらなる成長が期待できるでしょう。

管理側が営業組織をマネジメントしやすいのはもちろん、営業社員の短期的な成長につながりやすいのがジョブ型採用の強みといえます。

ジョブ型新卒採用のデメリット

ジョブ型新卒採用のデメリットとして挙げられるのは、主に以下の3つです。

  1. 人材の流動性が高い
  2. ゼネラリストを育成しづらい
  3. 転勤や異動をさせづらく、業務を変えにくい

メリットだけではなく、デメリットについても確認してジョブ型新卒採用の理解度を深めていきましょう。

人材の流動性が高い

営業職には専門性が求められますが、その専門性が高い人材は他社からの需要が高く、会社の理念よりも職務内容や報酬で会社を選ぶ傾向があります。

このため、会社に対するロイヤリティが生まれにくく、待遇に不満がある場合はすぐに転職する可能性があるのが難点です。

実際には、営業職の専門性が高い人材はヘッドハンティングされるケースも多く、育成したとしてもすぐに離職してしまう可能性があります。

営業職においても、専門性の高い人材を自社に定着させたい場合は、報酬や待遇面の見直しを行うと良いでしょう。

ゼネラリストを育成しづらい

ゼネラリストとは、知識やスキルを幅広く保有している人材のことを指します。

しかし、ジョブ型採用では営業職の業務があらかじめ決まっているため、ゼネラリストを育成しづらいのが難点です。

ゼネラリストへの育成を考えている場合は、期間限定のジョブローテーションを導入するといった対策が必要になります。

将来的には能力の高い営業幹部やマネージャーを育成したい場合は、自社で対策を講じてみると良いでしょう。

転勤や異動をさせづらく、業務を変えにくい

営業職においても、ジョブ型採用では職務内容や勤務地があらかじめ決まっていることが多く、転勤や業務変更が難しいのがデメリットです。

企業側の都合で転勤を命じづらく、無理な異動をさせてしまうと離職につながる恐れもあります。

営業職は人との関係性や市場の変化によって業務が大きく影響を受けることがありますので、柔軟な対応や業務変更が必要となる場合も少なくありません。

基本的にはジョブディスクリプションに記載された要項に従う必要があるため、ジョブ型採用ではその点に注意が必要です。

従来の新卒採用のメリット

従来の新卒採用のメリットは、主に以下の4つです。

従来の新卒採用のメリット

それぞれのメリットについて、1つずつ詳しく見ていきましょう。

配置転換ができる

従来の新卒採用では、総合的な観点で育成することが多いため、ジョブ型よりも営業担当社員の配置転換がしやすいのがメリットです。

会社の経営方針や育成に変更があれば、営業職の従業員の働き方もあわせて調整しやすくなります。

欠員が出た営業部門や地域があった場合でも補充しやすく、安定した営業体制の構築が期待できるでしょう。

チームワークが強化できる

従来の新卒採用では、長期にわたって営業チームに所属する人材を確保しやすくなり、自社の営業組織へのロイヤリティが高まります。

チームの一員という自覚を強く持つため、帰属意識が高まり、営業活動のモチベーション向上につなげることが可能です。

チームワークの向上にもつながりやすくなるため、営業活動の生産性の向上が期待できるでしょう。

長期的な育成が可能

終身雇用を前提に一括採用をしていることが多く、長期的な営業スキルを始めとした育成が実現できます。

営業担当者の部署移動や他業務の経験を積ませることができるため、将来の営業幹部やゼネラリスト候補を育てることが可能です。

営業職においては人材の流動性が高い傾向のあるジョブ型採用にはないメリットといえるでしょう。

新卒一括採用で採用コストを抑えやすい

新卒一括採用では短期間でまとめて採用を行うため、採用コストを抑えやすいのがメリットです。

求人広告や採用計画の練り直しを都度行う必要がなく、費用や人的なコストを抑えられます。

卒業を控えた学生を囲い込めるため、優秀な営業人材を早期に取得しやすいのも従来の新卒採用における強みといえるでしょう。

従来の新卒採用のデメリット

従来の新卒採用のデメリットとして主に挙げられるのは、以下の4つです。

  1. テレワークに向いていない
  2. 人件費がかさむ
  3. 給与に不満を抱える可能性
  4. グローバル人材を取りづらい

どのようなデメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。

テレワークに向いていない

従来の新卒採用では特定の営業業務に特化していないことが多く、上司の指示によってさまざまな業務を割り振られます。

このような状況では、頻繁なコミュニケーションが必要とされるため、最近注目されているテレワークには適していないと言えます。

会社全体でテレワークを推進したいという企業にとって、向かない採用方法といえるでしょう。

人件費がかさむ

通常の新卒採用では、営業職の従業員を年功序列で採用することが一般的です。そのため、年数が経つごとに人件費が増加していく傾向があります。

実際の成果とは無関係に給料が上がっていくことで、徐々に負担が増えるというデメリットがあります。

また、営業職においては高齢になると生産性が低下する従業員も存在するため、将来を見越して採用を検討する必要があります。

給与に不満を抱える可能性

年功序列制度では、営業職の従業員がどれだけ成果を上げても報酬に反映されにくくなる傾向があります。

自分の努力が報酬や待遇に反映されないと、特に営業職の社員は退職を考える可能性があるため、注意が必要です。

年功序列制を採用している場合だとしても、評価制度を常に見直すように心がけましょう。

グローバル人材を取りづらい

海外ではジョブ型雇用の考え方が一般的なので、従来の新卒採用そのものが理解されない可能性があります。

海外の卒業シーズンは日本と異なるケースも多いので、グローバルな営業人材を通常の新卒採用で採用する場合、人材確保が難しくなるケースがあります。

そのため、このようなケースの営業職採用においてはジョブ型での採用を検討することが望ましいでしょう。

新卒採用を始めるにはどのタイミングがベストなのか

新卒採用を始めるベストなタイミングとして、以下の3つが挙げられます。

新卒採用を始めるタイミング

それぞれのタイミングについて、具体的に解説します。

新卒採用を始めるのは従業員が30〜100人の時

新卒採用を始めるのは、従業員が30~100人規模のタイミングが多いのが一般的です。

ただし、あくまで目安なので、30~100人規模でない限り採用してはいけないということではありません。

3年後に必要な採用人数を考えるタイミングが多くなったり、新卒採用を行える人と工数の見込みが出たりした場合は規模に関係なく新卒採用をしても問題ありません。

規模だけにとらわれず、自社のフェーズに合わせて新卒採用のタイミングを図るようにしましょう。

企業の規模別、新卒採用/中途採用の割合目安

引用:リクルートワークス

上記のように企業の規模別、新卒採用/中途採用の割合目安を1つの基準にしてみるのも良いでしょう。

一般的には企業規模が大きくなるほど資金にも余裕が出るので、新卒採用の割合が増える傾向にあります。

自社の状況や予算なども考慮しつつ、新卒・中途どちらの採用を強化するのか決めましょう。

新卒の割合計算方法

新卒採用人数を決める際は、以下の手順に沿うとスムーズに進めやすくなります。

  1. 事業計画・組織構成を確認する
  2. 採用ニーズを調べる
  3. 要員数を算出する
  4. 新卒の割合を決定する

いきなり採用を始めるのではなく、順序立てて計画を進めることでより無駄がなく意義のある採用活動が実現します。

また、割合の計算方法としては、トップダウン式とボトムダウン式の二種類のやり方があるので以下の表を参考にしてみましょう。

トップダウン方式
(マクロ的算定方式)  
・会社全体の資金
・リソースをもとに許容できる採用人数を決める
・キャッシュフロー全体を把握しやすい
・予算オーバーにつながりにくい
ボトムアップ方式
(ミクロ的算定方式)
・部署ごとや役職ごとに必要な人員を想定して算出する    
・現場のニーズを解決しやすい

基本的には2つの方式を併用するのが一般的なので、両方を活用してより効率的な採用活動を進めましょう。

新卒採用の採用方法12選

新卒採用

新卒採用の方法として、以下の12個をピックアップしました。

  1. 就職サイト
  2. 人材マッチングアプリ
  3. 合同説明会
  4. ハローワーク
  5. 大学就職課
  6. 自社ホームページ
  7. インターンシップ
  8. ダイレクトリクルーティング
  9. 逆求人採用
  10. ターゲティング広告
  11. 人工知能マッチング
  12. 採用代行

これから新卒採用を進めていく際の参考にしてください。

就職サイト

マイナビやリクルートなどの就職サイトで採用を進める方法です。

最近では大手以外にも多くの求人サイトがあるため、選択肢が広がっています。

【メリット】
・多くの学生に見てもらえる
・母集団形成に向いている
【デメリット】
・サイトへの掲載料が高い傾向にある
・特定の学生へアプローチする際に向いていない

人材マッチングアプリ

近年では、特定の学生とつながれるyentaなどの人材マッチングアプリが注目されています。

よりフランクな形でつながれるので、多くの企業で採用され始めている手法です。

【メリット】
・SNS感覚で学生とつながれる
・特定の学生とつながれる
【デメリット】
・利用にコストがかかる
・多くの学生にアプローチする際には不向き

合同説明会

多くの企業が出展し、学生と交流の場を作るのが合同説明会です。

今まで自社を知らなかった学生に対してもアプローチできる方法といえます。

【メリット】
・多くの学生と触れ合える
・今までアプローチできていなかった層とつながれる
【デメリット】
・都市部でしか開かれていない場合が多い
・従業員を派遣する必要がある

ハローワーク

無料で求人情報を出せるので、高いコストパフォーマンスがある方法です。

中途採用もあわせて行えるのが魅力といえるでしょう。

【メリット】
・無料で求人募集ができる
・地方でも実施しやすい
【デメリット】
・利用している学生は少ない
・学生の質を担保しにくい

大学就職課

キャリアセンターや就活支援センターに紹介を促してもらうのも1つの方法です。

大学を選定できるので、学生の質も担保しやすくなっています。

【メリット】
・ローコストで質の高い学生を採用できる
・人材のレベルを選定しやすい
【デメリット】
・大学職員の能力に左右される
・大学と接点を作る必要がある

自社ホームページ

自社ホームページであれば、自社が求める内容を詳細に記入できます。

既にホームページがある場合は、低コストで済むのも強みです。

【メリット】
・既にホームページがある場合はコストがかかりにくい
・他社の採用サイトのような制限を受けない
【デメリット】
・ホームページがない場合は制作コストが必要
・アプローチできる層が少ない

インターンシップ

事前にインターンシップで学生とつながっておくことで、人材を確保しやすくなります。

企業によっては、インターンシップから選考を始めている場合もあります。

【メリット】
・人材採用を早期に始められる
・自社の業務を一部任せられる
【デメリット】
・現場の協力を得る必要がある
・インターンシップに参加しても自社を選んでくれるとは限らない

ダイレクトリクルーティング

企業が自ら求める人材を探し出して、自社からアプローチする手法を指します。

コストはかかりますが、自社にマッチした人材を見つけやすいのが強みです。

【メリット】
・自社に必要な人材を確保しやすい
・自社で活躍している社員と似ている学生を確保しやすい
【デメリット】
・コストがかかる
・自社にマッチする人材がいるとは限らない

逆求人採用

就活サイトに掲載したプロフィールなどを見た学生に対して、企業がアプローチする手法です。

企業からアプローチするので、学生の印象に残りやすくなります。

【メリット】
・学生のスキルや素質がわかりやすい
・自社の求める人材に出会える可能性が高い
【デメリット】
・コストがかかる
・学生を確実に採用できるとは限らない

ターゲティング広告

ターゲティング広告は、インターネットで求人を探している学生を集中的にアプローチできる広告です。

効率よく学生にアプローチできるため、工数を抑えたい場合に向いています。

【メリット】
・採用工数を抑えられる
・ターゲットを絞ってアプローチできる
【デメリット】
・広告運用に対して知識が必要
・ターゲティング精度が低い場合がある

人工知能マッチング

学生のデータベースをもとに、AIが自動的に学生に対してアプローチをしてくれます。

まだ導入され始めている段階ですが、採用工数を抑えることが可能です。

【メリット】
・採用コストの削減が可能
・自社にあった人材を見つけやすい
【デメリット】
・導入に費用がかかる
・有力な人工知能マッチングはまだ少ない

採用代行

採用代行を行ってくれるサービスを用いることで、リソースに限りがある企業でもコストを抑えて採用活動を進められます。

導入することで、自社のコア業務により専念できるでしょう。

【メリット】
・時間がかかる採用活動を任せられる
・一部の採用活動を代行させることも可能
【デメリット】
・利用する際は費用がかかる
・企業選定に時間を取られる場合が多い

まとめ

新卒を採用する場合、ジョブ型採用を行えばよいというわけではありません。

従来の新卒採用、ジョブ型採用ともにメリット・デメリットがあるので、理解を深めたうえで自社にあった方法を選ぶ必要があります。

また、新卒の採用方法については、別途12個紹介しているのであわせて参考にしてみてください。

自社にあった方法を選び、効率的に優秀な人材を確保できるように努めましょう。

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