「新規営業しても相手に断られる」
「相手が強気に出てくると何も言えなくなってしまう」
このように悩んでいる営業マンもいるのではないでしょうか。
上手く営業ができないという人は、優先的に切り返しトークや話法を学ぶことが大切です。
切り返しトークのコツや話法を習得することで、どんな顧客が出てきた場合でも上手く対応できます。
今回の記事では、営業での切り返しトークのポイントや、やってはいけないこと、様々なケースに対応した明日から使える切り返しトークなどを詳しく解説します。
質問力の鍛え方、話法も解説しているので、あわせて参考にしてみてください。
営業は切り返しトークをするべき!

営業は切り返しトークをできると、さらに成約率が上がります。
ここからは、なぜ切り返しトークが必要なのかについて、見ていきましょう。
悩んでる時点でプレゼンは1歩進んでる
「検討します」という言葉が出てきた場合、マイナスではなくむしろプラスの印象を持たれています。
悩ませたらプレゼン内容に興味を持たれてる証拠なので、切り返しトークでさらに成約率を高めましょう。
「検討します」という言葉以外にも、商品・サービスなどの質問が多い場合は、悩んでいる可能性があるので積極的に提案することが大切です。
時間を空けると熱が冷める
購買意欲は、情報を受け取った直後が最も高いとされており、それ以降は下がる傾向にあります。
購買意欲が低下する理由として、以下の例が挙げられるでしょう。
- 時間経過による関心の低下
- 競合他社に興味を持つ
- 優先度が自然と下がる
- 単純に忘れている
時間が空いてしまうと一気に成約率が落ちるので、興味を持っている段階で一気にプッシュするのが重要です。
切り返しトークのポイント
切り返しトークのポイントとして、以下の7つを押さえておきましょう。

切り返しトークで意識すべきポイントばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
相手の意見を受け止める
営業側はあくまでも聞き手なので、しっかりと顧客が言っていることを受け止める必要があります。
無理に提案をしていると、話を聴いてくれていないとみなされるので失注につながってしまうでしょう。
相手の悩みや考えていることを聞き出してから、アプローチすることが成功への近道です。
感謝の心を忘れない
商談相手に対し、常に感謝の心をもって接すると、相手にとっても気分が良くなります。
時間を取ってもらったことはもちろん、何かしらの提案を断られた時も感謝の心を忘れてはいけません。
顧客は提案を断る際に強くストレスを抱えているので、軽減してあげることが重要です。
常に気配りしながら相手に接するように心がけましょう。
相手の状況や考えを理解する
相手の状況や考えを理解することで、さらに提案がしやすくなります。
相手の状況や考えを理解するには、徹底したヒアリングが大切です。
自分の要望を押し付けてしまうと、それだけで成約率が落ちます。
相手の会社の課題、予算、要望など細かいところまで聞き出し、考えを汲み取ると良いでしょう。
相手の悩みを引き出せる質問をする
相手の悩みを引き出せない限り、適切な提案はできません。
相手の悩みを引き出せるように、以下の文例を活用して質問してみましょう。
- 「今までITツールを使っていて不便だった点はありますか?」
- 「現在の導入ツールにどのような不満を抱えていますか?」
- 「弊社のツールについて、ご説明させていただきましたがご不明点等ありますか?」
相手に共感する
相手の課題、悩みを聞き出した後は、共感することを習慣化してみましょう。
しっかりと共感することで相手からすると「この営業の人は自分たちのことをわかってくれている」と感じます。
信頼感を構築する上で必須のテクニックなので、相手の話に共感する姿勢を見せましょう。
互いの認識相違がないか確認する
互いの認識相違があると、うまく話が進みません。
早期の段階で認識相違を解かない限り、成約には至らないでしょう。
互いの認識相違をなくすコツとして、都度相手に確認を取ることが重要です。
「質問等ございますでしょうか?」という風に常に相手との調整を図るように心がけましょう。
仮定の話と併せて提案する
「どういった条件であれば欲しいですか?」という風に仮定の話を併せて、提案しましょう。
相手の要望を聞けるチャンスが生まれるので、積極的に活用するのがおすすめです。
また「もし条件にあったら、契約していただけますか?」とテストクロージングを行うと、さらに成約の条件が見えてきます。
仮定の話とあわせて提案する訓練も、日々のロープレの中でしておくと良いでしょう。
質問力の鍛え方
質問力は営業マンの必須スキルなので、以下のポイントを押さえて鍛えましょう。

上記のポイントを押さえると、質問が一気に上手くなります。
傾聴の姿勢
まずは相手の話を受け止めることで、提案のヒントがつかめます。
自分ばかり話していると、相手がどのポイントで悩んでいるのか理解できません。
提案のヒントを得るためにも、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
- 相手が話しやすい態度にする
- 話を最後まで聞く
- 共感する
- 言葉以外の情報を読み取る
これらが押さえられていると、傾聴の姿勢を保ちやすくなります。
いきなりできるようにはならないので、ロープレで慣れておくと良いでしょう。
ゴールと現状を把握しそのギャップをみつける
相手の「ゴール」「現状」「ギャップ」がわかると、提案のヒントが生まれやすくなります。
以下の例を参考にして「ゴール」「現状」「ギャップ」を把握しましょう。
- ゴール:今回の施策が成功した場合、どのようなビジョンが見えますか
- 現状:現状でどういった部分に課題を感じていますか
- ギャップ:ゴール達成のために何が必要になると考えていますか
ギャップまで聞けるとこちらの提案がしやすくなるので、ヒアリングを徹底して情報を獲得しましょう。
★これは、現代の営業スタイル「インサイトセールス」で必要不可欠なので、下記の記事も一緒にご覧ください。
役職に合わせた質問をする
役職によって、関心を持っている領域が異なります。
求めていることも違うので、役職にあわせた質問をすることが大切です。
これらのポイントを押さえて、提案をしましょう。
具体的なテクニック
営業において「確認」「掘り下げ」「話の拡大」は非常に重要です。
上記3つを丁寧に行うことで、相手の悩みを可視化しやすくなるため、成約率の向上につながる提案ができます。
以下の例を参考にして、質問内容を考えてみましょう。
切り返しトークで使える話法
切り返しトークで使える話法として、以下の6つがあります。

どれも実用的なテクニックなので、必ず押さえておきましょう。
yes but
yes but話法とは、顧客の言葉に反する営業側の主張を述べ、抵抗感を軽減する応酬話法の1つです。
yes but話法を身につけると、何かしら理由をつけられて断られた場合の対処につながります。
例えば価格を理由に断られた場合は、以下の例文が使えるでしょう。
おっしゃる通り、弊社の価格は高めの設定ですが、他社にはない〇〇の機能を用意しています。 アフターサポートも充実しており、価格以上の価値があります。
ただし、全否定すると相手の印象が悪くなるため、注意しましょう。
yes and
yes and話法は、顧客の言葉に反するこちらの主張を述べていく手法です。
さようでございます。一方で…
上記のように、反発が生まれにくい言葉でつないで顧客のメリットを提示しましょう。
顧客の中に肯定的な気持ちが生まれ、前向きなやりとりにつながるので、早期に習得しておきたいテクニックの1つです。
yes what
yes what話法とは、相手の意見を肯定した後に、話をさらに深掘りする切り返しトーク術です。
顧客からさらに具体的な回答を得られるので、積極的に活用する必要があります。
使う際は、以下の文例を参考にしてみてください。
そうですよね。お客様と同じ悩みを抱えている人は実は多いんです。 その他に、サービス購入に関する疑問点はありますか?
顧客の要望を調べるために必要なテクニックなので、早期に習得しておきましょう。
yes so that
yes so that話法とは相手の意見を肯定し、自分自身の意見として引き込む手法です。
活用することで、顧客の背中を押してクロージングに近づけられます。
【顧客】
君のところの商品は確かに魅力的だけど、価格が他社と比べて高いんだよね。そこで悩むんだ。
【営業】
確かにお客様と同じ意見を耳にすることは多々あります。 だからこそ、自社のサービスを1度使っていただきたいんです。 自社商品は5年間のアフターサポートが付いているため、長期にわたって御社を支え続けられます。
契約の後押しをする際に使えるテクニックなので、ぜひ活用してみましょう。
yes if
yes if話法とは、相手の意見を肯定しつつ、いったん話をそらしてから仮定の話をすることで、相手に探りを入れる手法です。
相手の意見を受け入れつつもそれをかわし、納得してもらえるポイントを仮定の形で提案できます。
【顧客】
君のところの商品は確かに魅力的だけど、価格が他社と比べて高いのがネックだね。
【営業】
確かにお客様と同じ意見を耳にすることは多々あります。 もし、割引が可能な場合はご検討していただけますか?
相手の本音を引き出せるテクニックなので、ぜひ普段の営業で使ってみましょう。
yes how
yes how話法は相手の意見を肯定したあと、イエスバット法のように反論するのではなく、相手が納得できる条件を探るテクニックです。
具体的な課題やニーズを探る際に使えるので、以下の文例を参考に活用してみましょう。
【顧客】
君のところの商品は確かに魅力的だけど、価格が他社と比べて高いのがネックだね。
【営業】
そうですよね。高いと感じられるのも無理はないと思います。 では、どのような価格帯をご希望かご参考までに教えてもらってもよろしいでしょうか。
yes butは通用しない?
yes but話法は用いられることが多い傾向にありますが、使う人が増えているため営業の現場だとやや通用しなくなっています。
もし、通じにくいと感じた場合は仮定の話を用いてテストクロージングができる「yes if話法」を使うと良いでしょう。
あくまで仮定の話なので、相手にとっても話しやすい雰囲気が作れます。
また、今回の記事ではyes but話法、yes if話法以外のテクニックも多く紹介しているので、あわせて使えるようになると理想的です。
切り返しトーク例【9選】
実際のトーク例として、以下の9つを用意しました。
- 忙しいので結構です
- 必要ないです
- 予算がない
- 決定権がない
- 他社と契約済
- 営業なら結構です
- 担当者不在
- 今は興味ない
- 検討します
営業していると頻繁に出くわす場面を再現しているので、ぜひチェックしてみてください。
忙しいので結構です
言われることが多い断り文句の1つなので、相手に共感して敵対する気持ちをなくせるように努めましょう。
【共感の流れ】
御社は業績が高いので、忙しいのも当然ですよね。
【提案】
本日はお忙しいと思いますが、別日で落ち着いているお日にちはございますでしょうか。
提案時も相手の心情を察しながら丁寧に話せると理想的です。
必要ないです
「忙しいので結構です」と同じく、営業をしていると出くわす確率の高い断り文句の1つです。
【共感の流れ】
現在使用していないのは、必要性を感じていないからですよね。
【提案】
念のため、必要ない理由を具体的に教えていただけませんか?
上記の例文を参考に本当に必要ないのか、必要性を自覚していないのかチェックして情報を聞き出しましょう。
予算がない
営業をしていて予算がないと聞かれた場合も、共感したうえで提案すると話を聞いてくれる可能性が高まります。
【共感の流れ】
急なお話かつ、今まで使っていないサービスなので予算がないのは当然ですよね。
【提案】
予算確保しやすいように、複数のサービスプランを用意しているので一度パンフレットをご覧になっていただけますでしょうか。
本当に予算がない、予算があるが足りない、予算はあるが優先順位が低いといったパターンが考えられるので、上記の流れで上手く聞き出すと良いでしょう。
決定権がない
決定権がないと言われた場合、担当者自身は必要性を感じている場合があります。
以下のように同意したうえで、提案を行いましょう。
【共感の流れ】
急なお話だったので、すぐには決められませんよね。
【提案】
決定権がもしご自身にある場合、契約したいと考えますか?
ただし、担当者自身が必要と感じていないケースもあるので、その場合は時間をかけてヒアリングをして、課題の深堀を行ってからまずは情報を集めることが優先です。
他社と契約済
他社と契約しているというケースも営業においては、多く見られます。
こちらのパターンでも共感をしたのちに、提案を行いましょう。
【同意】
すでに他社とご契約済みだったのですね。失礼いたしました。
【提案】
ちなみに他社製品を導入後、どのように変化しましたか?
他社商品に満足しているのか、それとも不満を抱いているのか間接的に探ってさらなる提案をするのが大切です。
営業なら結構です
新規営業をしていて、とくに言われることの多い断り文句の1つと言えるでしょう。
営業ではなく、挨拶が目的であることを以下の文例のように伝えるのがコツです。
実は営業ではなく、このエリアを新規で担当することになり、本日はご挨拶のつもりでうかがいました。
現在、弊社の新商品である〇〇の割引キャンペーンも行っておりまして、情報交換がてら1~2分ほどご挨拶させていただけないでしょうか。
メリットがあることも伝えて、相手とより確実に接点を持てるようにしましょう。
担当者不在
担当者がいないといわれたときは、以下の文例で情報を聞き出しましょう。
- いつごろお戻りになられますか?
- 担当者様のお名前をおうかがいしてもよろしいですか?
- いつも何時ぐらいにいらっしゃることが多いですか?
とくに担当者の名前を聞いておくと、テレアポをする際に使えます。
1つでも情報を引き出せるように、工夫を凝らしてみましょう。
★このトーク例は電話営業でよくあるケースです。詳しくは下記の記事をご覧ください。
今は興味ない
今は興味ないと言われた場合、今買わないといけない理由を提示すると相手が興味を持つ可能性があります。
そうですよね。
いきなりお話をしたので、必要性を感じてもらえないのも無理はないと思います。
ただ、現在こちらの商品ですが今だけ月額料金が3か月無料となっておりまして、かなりお安くなっているんです。
同業他社のサービスではここまでの特典はないので、パンフレットだけでもご覧になっていただけませんか?
とくに割引など、明確なメリットと結び付けられると効果的です。
相手の気を惹ける情報を提示できるように心がけましょう。
検討します
検討します、考えますは断り文句の1つである可能性が高いので、いわれた場合は考える理由について聞き出しましょう。
何か弊社の商品で、気になる部分はありますか。
もし検討される場合は、 今この場で気になる点を一緒に解決させてください。
この場合も押し付けるように言うのではなく、寄り添う姿勢を見せて警戒心を解くのがコツです。
切り返しトークのNGパターン
切り返しトークでやってはいけないこととして、以下の4つがあります。

これらを間違えると、相手に不信感を与えてしまうので注意しましょう。
「でも」や「いや」
「でも」や「いや」は相手を全否定してしまう言葉の1つです。
相手に失礼な印象を与えてしまい、成約につながらなくなってしまいます。
まずは共感の意思を示したうえで「一方で」「ただ」など相手を全否定しない言葉を使うように心がけましょう。
「興味なかったですか?」
興味なかったですか?は相手にとって失礼なうえに、聞く意味のない文言です。
もし普段の営業で言ってしまうという癖がある場合は、すぐに直しましょう。
共感のし過ぎ
共感のし過ぎは相手にうっとうしい印象を与えてしまいます。
話を聞いていないとも捉えられるので、共感するのは1度の会話で1回程度にしておきましょう。
また、大げさな態度も不信感を与えてしまうため、さりげなく共感することが大切です。
言葉を詰まらせる
言葉を詰まらせてしまうと、相手に頼りない印象を与えてしまいます。
一度頼りない姿を見せてしまうと、相手から信用されなくなるので徹底的な練習をしておくことが大切です。
ロープレでさまざまな話法を実践するのはもちろん、切り返されたときのパターンも想定しておきましょう。
顧客のフィードバックを大切に
顧客からのフィードバックには、改善のヒントが詰め込まれています。
顧客からのフィードバックをもとに、以下の観点で自社サービスを改善できると理想的です。

それぞれの詳細について、チェックしていきましょう。
サービスの改善
顧客に話を聞いていると、技術やサービス面の部分でフィードバックが来ます。
具体的にどの部分が使いづらいのか聞き出すと、改善のヒントにつながります。
常にサービスを改善することで、既存顧客からの満足度向上はもちろん、新規顧客獲得のチャンスも拡大していくでしょう。
営業戦略の改善
顧客に話を聞いていると、価格に関するフィードバックを受けることがあります。
複数の顧客から価格について指摘される場合は、市場や競合を見て価格を設定し直しましょう。
また、提供方法やセールスプロセスにも問題はないか確認して、より売れる仕組み作りを整えることも大切です。
カスタマーサポートの改善
顧客からの問い合わせや要望に迅速かつ適切に対応できると、顧客満足度を高め、リピート率を上げられます。
営業だけではなく、カスタマーサポートも改善できるとさらなる売り上げの改善につながるでしょう。
また、カスタマーサポートに寄せられた不満などは営業にもフィードバックし、より適切なセールスができるようにするのも重要です。
顧客エンゲージメントの向上
ニーズに合った情報提供の改善、イベントやキャンペーンの実施などを実施することで、顧客との関係性を深め、顧客ロイヤルティを向上させられます。
既存の顧客のアップセルが望めるだけではなく、紹介も受けるチャンスにつながる場合があります。
新規顧客ばかり追い求めず、既存顧客のアフターフォローも欠かさないようにしましょう。
まとめ
切り返しトークは、新規並びに既存営業にも必須なテクニックです。
- 悩んでる時点でプレゼンは1歩進んでる
- 時間を空けると熱が冷める
顧客の言葉に上手く切り返し、その場で決め切れるか否かが、成約率に大きく関わってきます。
ただし、切り返しトークは顧客との関係を悪化させるものであってはいけません。
今回の記事では正しい切り返しトークの方法を紹介しているので、相手の意見を理解し適切な切り返しトークができるようにしましょう。
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