企業が経営目標の進捗をチェックし、方向性を整えるために必要な予実管理。
ほとんどの企業では予実管理をやっていると思いますが、すべてが効果的に進められているとは限りません。
そこで今回は予実管理の手順やポイント、効率を上げるための方法などをまとめました。
予実管理をしっかり行い経営に活かしたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
予実管理とは?

予実管理とは「予算」と「実績」を管理することの略称です。
予実管理をすることで、経営目標を達成するために予算を設定し、進捗を確認しながら次にどうすべきか戦略を練ることになります。
仮に予実管理ができていないと、どのようにして目標を達成したのか、もしくはできなかったのか分析できません。
健全な経営をして事業を育てていくためには、予実管理のポイントを押さえておくことが欠かせないといえるでしょう。
予実管理の手順
予実管理を正しく行うには、以下の4つの手順を試してみてください。
①予算を立てる
まずは予算を立てることから始めます。
具体的には売上、販管費、営業外損益、原価などの項目を1年の初めに設定しましょう。
基本的には前年の情報を参考にすると、大きなずれが生じにくくなるはずです。
②月次チェックする
予算を立てたら月次で決算を行い、目標に対する実績をチェックします。
予実管理を一目で行うには、エクセルやスプレッドシートなどのツールを利用することがおすすめです。
もしくは予実管理専用のソフトを使えば、より効率よく予実管理に取り組めるでしょう。
③差異を分析する
月次で決算を行う際に予算と実績に差異が出たら、どのようにしてそうなったか分析することが大切です。
現状と目標のギャップをすり合わせることで、直近でやるべき課題や向かうべき方向性が見えてきます。
④定期的に見直し、次のアクションを練る
予実管理を行う際は、定期的に目標や進捗を見直して次のアクションを練りましょう。
目標が実情と合っていないのであれば、必要に応じて数字を軌道修正する必要があります。
市場の流れなどによって思わぬアクシデントが起こり、目標を追うことが難しくなる場合もあるでしょう。
そんなときのためにも、定期的に見直しして次の行動を決めることが肝心です。
予実管理のポイント
予実管理のポイントは全部で5つあります。
それぞれを詳しく解説しますので、ぜひ取り入れてみてください。
目標は高すぎても低すぎてもNG
最初に目標設定をする際に気を付けたいのが、高すぎる数値や低すぎる数値を設定しないことです。
どちらのケースであっても、従業員のモチベ―ション維持が難しくなるからです。
昨年度の数字をもとにして、プラス5~10%くらいの目標を設定するとちょうどいいと言われています。
適切な目標を設定し、定期的に進捗をチェックしながら問題がないか確かめてみましょう。
PDCAをまわす
次に、予実管理をするうえではPDCAをまわすことも大切です。
PDCAとはPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(行動)の4つを指します。
予実管理でいうなら目標を立てて、達成するために日々の業務をこなし、月次決算で進捗を確認し、差異が出たらそれらを埋めるためにまた行動する、という流れです。
これらのサイクルを続ければノウハウが溜まり、目標設定を失敗せずに予算通りに進めやすくなります。
予実管理表を作る
正確に予実管理をするなら表を作成して、関係者同士で共有できるようにしましょう。
項目としては当初に決めた目標と進捗、その差異を入れることが必要です。
またこれまでの累計を項目別にわかるようにしておくと、誰が見ても理解しやすい表になります。
予実管理表はエクセルやスプレッドシート、もしくは専用のツール・ソフトを使うのがおすすめです。
営業利益を重視する
予実管理をする際のポイントのひとつは、営業利益を重視することです。
なぜ営業利益を重視するかというと、事業を育てていくためにもっとも重要な項目だからです。
この他にも売上、販管費など注目すべき項目はいくつもありますが、あくまでも優先度を設けて、全ての数字を気にしすぎないようにしましょう。
リアルタイムで確認する
予実管理をチェックする際は、リアルタイムで確認できることが前提です。
なぜならリアルタイムで確認できないと定期的な進捗確認が困難になり、差異が生じた際の対応が遅くなるからです。
リアルタイムで数字を見るためには、全員が見られるクラウドのファイルに記載したり、アプリで閲覧できるようにしたりするといいでしょう。
予実管理を効率的に行う方法
予実管理を効率的に行うためには、専用のツールやソフトを使うことをおすすめします。
無料で使えるものや有料で生産性を高めるものを紹介しますので、予実管理を本格的に行う際に導入してみてください。
予実管理におすすめのツール
手軽に使えるツールがいいのなら、エクセルかスプレッドシートのどちらかを使うといいでしょう。
エクセル

出典:Microsoft
手軽に予実管理をするなら、お馴染みのマイクロソフトのエクセルがおすすめです。
簡単に表を作れて誰でも使いやすいので、予実管理表を編集するハードルが低くなります。
ただ、共有フォルダにエクセルを保管した状態では同時編集ができず、フォルダが紛失する可能性があります。
複数人で編集する場合は、後述するスプレッドシートを利用しましょう。
スプレッドシート

出典:Google
スプレッドシートはGoogleが提供しているクラウド型のツールです。
見た目はエクセルと似ていますが、クラウド型なのでブラウザやアプリからひらくことになり、同時編集や自動保存が可能となっています。
社内のメールシステムがGoogleの場合は、スプレッドシートを使うとアカウント情報が紐づけられ便利です。
予実管理におすすめのソフト
ソフトやアプリを使う際は、以下の4つがおすすめです。
それぞれの特徴を紹介しますので、予算や機能に応じて検討してみてください。
BizForecast

出典:BizForecast
BizForecast(ビズフォーキャスト)は、エクセルのデメリットとなりうる属人性や機能面の不十分さをカバーするために作られたソフトです。
ソフトならではのセキュリティ対策と分析機能を活かし、予実管理の数字をもとに経営状態の分析や報告といった機能が豊富に搭載されています。
予実管理だけでなくプロジェクト管理や人事評価システムなど、他部門で活用できるシステムもあるため、部門をまたいでまとめて導入してもいいでしょう。
Oracle Planning and Budgeting Cloud Service

出典:Oracle Planning and Budgeting Cloud Service
Oracle Planning and Budgeting Cloud Service(オラクル・プランニング・アンド・バジェッティング・クラウドサービス)は、オラクルグループが提供する予実管理ツールです。
世界の10,000社以上の企業に導入され、予実管理ツールとして国内外から注目をあつめています。
予実管理を数字で見るだけでなくダッシュボード化したり、PLやBSの予測をシュミレーションしたりできる、ソフトならではの機能に定評があります。
Sactona

出典:Sactona
Sactona(サクトナ)は予実管理や予算編成など、経営管理に特化したシステムです。
富士フイルムやパナソニック、LIXILなど大手企業にも多数導入された実績を持っています。
予実管理は部門別、製品別、支店別などのカスタマイズが可能で、大きな規模で予算管理をまとめて行いたいときにおすすめのシステムといえるでしょう。
STRAVIS

出典:STRAVIS
STRAVISは950社に利用されている、グループ経営の連結会計に特化したシステムです。
連結会計や管理会計など、グループ全体で予実管理を行い、データ収集や分析を行うのに適しています。
またカスタマーサポートでは法制度に関する質問も受け付けており、ほとんどは30分以内に回答してもらえるためスピーディ-にやり取りが進むこともメリットのひとつです。
まとめ

今回は予実管理の手順やポイント、おすすめのツールなどを解説しました。
予実管理をうまく行うと、従業員のモチベーションを保ったまま売上を達成しやすくなり、事業を育てていきやすくなります。
本記事で紹介したポイントやツールを活用いただき、ぜひ自社の経営に活かしてみてください。
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