会社の目標設定をする際に「KPI」という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
しかし、具体的にどんな意味なのかわかっていなかったり、KGIやOKRなど似た用語と区別がつかなかったりする人もいるでしょう。
そこで今回はKPIについてわかりやすくまとめました。
似た用語との違いや具体的な決め方、KPI設定を失敗しないコツなどを紹介しますので、ビジネスを進める際の参考にしていただければと思います。
KPIとは

KPIとは英語でKey Performance Indicatorsといい、日本語にすると「重要業績評価指標」と翻訳されます。
簡単にいうと、企業や各部門・個人が業績を上げるための目安となる数値目標のことです。
「今月の営業目標は30件」などの数値もKPIのひとつと言えるでしょう。
KPIを設定することで、会社全体の目標を達成するためにどのような動きが必要なのか把握できて、各部門のゴールとしてアクションを起こす指標になります。
またKPIと似た言葉に「プロセスKPI」という用語があります。
明確な定義はされていませんが、各プロセスにおいて設定されるKPIのことを指すケースが多いようです。
たとえばソフトウェア開発なら「要件定義」「設計」「開発」など、各フェーズでKPIを定めることにより、生産性を高める効果があります。
KGI、OKR、KFSとは
KPIと似た言葉にKGI、OKR、KFSといった用語があります。
KPIとの違いと、使われる場面についてそれぞれ見ていきましょう。
KGIとは
KGIとはKey Goal Indicatorsの略で、日本語にすると「重要目標達成指標」といいます。
わかりやすくいうとGoalと書いてある通り、最終的な目標を定めたものがKGIです。
KPIは「パフォーマンス」を示す指標であるのに対して、KGIはより広い概念であり「最終的に企業が目指す目標」です。
たとえばKGIが「1年で2億円の売上を達成すること」であれば、そのために「毎月2,000万円の売上をつくること」がKPIになります。
KPIは細分化するため、KGIに対して複数のKPIを設定するのが一般的です。
KPIは「KGIを達成するために、プロセスの途中で進捗を確認するための指標」と考えるとわかりやすいでしょう。
OKRとは
OKRとはObjective and Key Resultといい、日本語に直訳すると「目標と主な成果」に言い換えられます。
わかりやすくいうと、OKRは複数の部門が持つ共通のゴールであり「会社全体で目指すべき目標設定」です。
KGIも似た意味を持ちますが、OKRは「達成できそうな目標」で、OKRを達成することで企業の成長を促す目的も含まれます。
一方、KGIは「必ず達成するべき目標」であり、OKRを達成する手段のひとつといえます。
たとえば「業界の4割のシェアを持つトップメーカーになること」はOKRに定められるでしょう。
KFSとは
KFSはKey Factor of Successの略で、直訳すると「重要成功要因」といいます。
簡単にいうと、KPIやKGIを成功させるために重要な事柄のことです。
たとえば、インターネット回線を例にとると「エンドユーザーに長期で利用してもらうこと」が売上につながる大きな要因です。
そのために、契約満了前に新たなプランを提案したり、付加価値があるサービスを紹介したりするなどアクションを起こす必要があります。
このようにKFSを分析することで、より具体的な活動内容を決めることが可能です。
同じ意味としてCFS(Critical Success Factor)という用語がありますが、意味はKFSと同じであり、大きな違いはありません。
KPIが導入される理由
KPIを設定する理由はいくつかありますが、重要なものとしては公正な評価をするためや、企業が活動するうえで次のアクションを明確にするため、といったことが挙げられます。
KPIの重要性をいくつかの項目に分けて解説していきます。
公正な評価をするため
KPIを使う理由のひとつは、公正な評価をするためです。
KPIは各部門に対してはもちろん、チームや個人にも設定するケースが大半です。
個人のスキルやパフォーマンスを数値で表すことにより、偏った考え方にならず客観的に評価することが可能です。
また社員に対してKPIを明らかにすることにより、公正に評価することを理解してもらえるメリットもあります。
自社の業績を可視化するため
KPIを使う二つ目の理由は、自社の業績を可視化するためです。
樹立した目標を数字に落とすことで達成率がわかり、もし達成率が低い場合は次のアクションを考えるきっかけになります。
定めたゴールに対して進捗を確認し、達成するための指標としてKPIは欠かせない軸といえるでしょう。
やるべきことを明確にするため
KPIを使う三つ目の理由は、やるべきことを明確にするためです。
部門、課、チーム、個人ごとにKPIを設定することで何をすればいいかが明らかになり、日々の業務でやるべきことが決まります。
KPIを軸にすれば日々の業務内容がおのずと決まるため、何をするべきか迷うことがなくなるでしょう。
KPIの事例

実際に企業で導入しているKPIの事例をいくつか紹介します。
インターネット回線の営業部門のKPI
インターネット回線の営業でKPIに設定される主な項目は以下の通りです。
・売上
・受注案件数
・利益率
・解約率
・クロスセル成約数
営業部門の場合は売上や受注件数、利益率などがKPIの対象となるケースが多いです。
インターネット回線の営業では、長い年数利用してもらうことが前提となるので「解約率」も大切な指標のひとつになります。
コールセンター部門のKPI
コールセンター部門のKPI事例は以下の通りです。
・対応件数
・対応時間
・架電件数
・応答速度
・顧客満足度
コールセンター部門では、いかに素早く対応し、相手の意図をくみ取って対応するかが求められます。
物理的にかかった時間や対処した件数はもちろん、ダイレクトにユーザーとやり取りするので顧客満足度も重要な指標です。
失敗しないKP設定のポイント
KPIを設定する際には、事前に知っておきたいポイントがいくつかあります。
データの分析をすることや数値化できる項目を使うこと、あらかじめKGIを設定することなどを意識したうえで、失敗しないKPI設定をしましょう。
データを分析する
KPIを決めるときの前提として、今あるデータを分析することが求められます。
現在の状況を把握したうえで仮説を立てて、それを検証するのがKPIの役割でもあります。
たとえば、サービスの購入もとを分析して、その中でインターネットからの検索流入が多いとわかったら「今後はSEO対策に力を入れるべき」という指標が見つかるかもしれません。
データを分析せずにKPIを設定すると、現在の状況からは達成不可能な目標ができてしまう恐れがあるので気を付けましょう。
数値化できる項目をKPIにする
次のポイントは、数値化できる項目をKPIにすることです。
当たり前ですが、ビジネスを進めるうえでは進捗を確認して担当者同士で共有することが欠かせません。
そのためにはシステムやクラウドアプリを活用し、定めたKPIをいつでもチェックできる体制を整えましょう。
営業のKPIであればSFAなどの管理ツールを使うことも有効です。
達成できる目標を設定する
KPIは、目標が低すぎても高すぎてもその効果を最大限発揮できません。
今の状況を見て、少し努力すれば達成できそうな数値を設定することが大切です。
たとえば営業数字であれば、去年の実績よりも+5%前後を目安にするといいでしょう。
「頑張れば達成できる」と思える数値にすることで、社員のモチベーションアップにもつながり、最終的なイメージをしやすくなります。
KGIを決めてからKPIに落とす
KPIはあくまでもKGIがあってこその指標です。
まず企業全体で何を目指し、どのようにビジネスを展開していくのか決めたうえで、細かな部分を数字に落としていきましょう。
順番としてはOKR→KGI→KPIという順番になり、それに付帯してKFSを決めていきます。
全体の軸があってはじめてKPIを決められるので、まずは大枠から固めることを意識することが大切です。
まとめ

今回はKPIとは何か、他の用語との違いや具体例、設定時のポイントなどを解説しました。
KPIは企業活動をするうえで欠かせない指標であり、目標を達成するためのロードマップでもあります。
正しいKPIを設定すれば業績アップにつながりやすくなるので、ぜひ今回紹介した考えを取り入れてみてください。
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